穂高岳ツアー2019.8.24-25
2019年8月24(土)‐25(日)に奥穂高岳、前穂高岳を縦走しました。
出発まで、1日目、2日目 の3つに分けて記事を書きます。
1.出発まで
もともとの企画は、
1日目は上高地から重太郎新道を通り、前穂高岳-吊尾根-奥穂高岳と縦走して、穂高岳山荘に泊まり、
2日目はNORMAL組とHARD組に分かれて、NORMAL組は涸沢を下山、HARD組は北穂高岳を縦走してから下山、涸沢で合流、横尾を経由して上高地まで戻るというもの。
休みが取れるメンバーは途中でもう一泊して、二泊での参加になります。
一般的には二泊するところを一泊で行うことや、鎖やはしごのある岩稜帯を歩くので、ハードな登山になると思われます。
そこで、一泊の参加者には自主トレーニングと共通課題が与えられ、
①大山(鳥取県)または白木山(広島県)を時間内に二往復すること
②大山のロングトレイルを時間内に歩くこと、が参加条件として課せられたのです。
二泊組は参加条件はなし。
時間制限として、
①は二回目の頂上に着いた時の時間が、NORMAL組は7時間半以内、HARD組は5時間半以内。
二回目の下山はゆっくりと。
②は川床をスタートし、大休峠からゴジラの背をピストンした後にユートピア小屋に向かい、宝珠山からスキー場に下山というコース。
NORMAL組は9時間以内、HARD組は7時間半以内というもの。
(当初は船上山からの縦走でしたがヤブがひどいので変更しました。)
どちらも休憩を含んだ時間です。
梅雨の蒸し暑い時期は、合羽を着ても湿度や汗で内側はビッショリ、梅雨明けの暑い時期は水が3~4Lくらい必要と、季節もちょっと厳しいのですが、ノルマ達成のために何度も挑戦するメンバーや、二泊組でもトレーニングに参加するメンバーもいました。
当時はここまでしなくても、と思いましたが、いざ穂高を歩いてみると、このトレーニングはたしかに有効で、長時間の活動や岩の登り下りの自信になりました。
なによりトレーニングを積んでから穂高に臨む姿勢や、メンバー同士が励ましあうところが、青春ぽくて素敵ではありませんか。
さて、厳しいコースなので一泊組は雨なら中止と決めていましたが、週初めの週間天気予報は雨。
天気のよい地域に変更など検討していましたが、頻繁に天気予報が変わり判断が難しい状況です。
木曜の時点で、土曜日は少雨、日曜は晴れると判断し、ツアーを決定します。
危険個所の多い吊尾根や前穂高登頂は、天気の良い日曜に登るようにとコースを逆回り、HARD組は取りやめと工程を変更して、穂高岳山荘に最終の予約を確認し、二泊組は木曜の深夜に出発したのです。
2.一日目
山陰一泊組は、松江を金曜19:40に出発し、ひるがの高原SAで朝食・昼食を買って、3時半頃あかんだな駐車場入口に到着しました。
山陽一泊組は21時に岡山を出発し、同時刻に到着です。時間と天気予報のためか、車は十数台程度しか停まっていませんでした。
4時頃に駐車場のゲートが開き、上高地行の往復のバスチケットを購入(2050円)、バスの列を待っていると登山者が集まってきます。
4:50一台目のバスに乗って、5:20上高地到着。
上高地はなんと晴天。わくわくの登山開始です。
・・・(個人的な用意、反省点など)・・・
私の服装や装備についてメモを書いておきます。バランスの悪い場所を長時間歩くので、装備は軽く、飲食物は小屋を利用し、気温の変化に対応できるよう防寒着を用意しました。
山小屋に入ってから気温が下がり、身体が冷えたので、小屋に入ったら乾いた服に着替えるべきでした。
寒いので食べた後すぐに寝てしまい、夜中に頭痛で目が覚めました。
食べた後すぐに寝ると高山病になりやすいと聞いたので、よくなかったかもしれません。
ポケットのジッパーを締め忘れてスマホを落としたのも反省点です。あと、歯ブラシを忘れたので上高地で購入しました。
服装
網のインナー上下に、化繊の半袖Tシャツ、アームカバー、化繊のタイツに短パン。
防寒や日焼け対策にチューブのバンダナを首に。ウールの靴下と帽子。
寒かったらジャージの上下を重ねる。もっと寒かったら雨具上下を着る。
装備
飲料水500mL×3本、行動食(おにぎり4個、菓子パン、お菓子、塩飴)、非常食(カロリーメイト2箱)、防寒着(ジャージ上下、インナーダウン上下)、雨具上下、ヘッドライト・予備電池、モバイルバッテリー・ケーブル、地図・コンパス、救急セット(ティッシュやテーピング、薬、エマージェンシーシートなど)、薄手の手袋、日焼け止め・リップクリーム、予備の着替え(長袖の下着)、28Lザック・ザックカバー、ヘルメット、財布
・・・(ここまで)・・・
5:25登山届に記入し、ポストに入れ、上高地を出発しました。
小屋の到着が遅れないように、各区間の標準コースタイムと比較しながら休憩時間や速度を調整します。
7:00徳沢到着。この区間のコースタイムより20分早く15分休憩。
(以降「この区間のコースタイムより」は省略)
涼しくて全然汗をかきません。
8:08横尾到着。20分早く15分休憩。ここのトイレは水洗できれいでとても快適。
いざ横尾大橋。この橋を渡ることにあこがれていました。ここまでは平坦な道で、ここから登山道になるようです。
これからスタートな気持ち。とはいえ、ほとんど傾斜もなく緩やかな道が続きます。
9:13本谷橋。30分早く10分休憩。かなり水量があり迫力があります。橋を渡るメンバーを撮影したり、おにぎりを食べたりします。
橋を渡ってから傾斜がきつくなり、やっと登山らしい雰囲気に。
遠くに見える涸れ沢には大きな岩が中央に鎮座し、あれはバースデーケーキって言われているよ、とすれ違った登山者が話していました。岩の上に立つ木がロウソクのようですね。
木が低くなってきて森林限界を感じていると、岩がゴロゴロする開けた場所に出ました。涸沢カールです。
10:33涸沢小屋。30分早く到着。ここで豚汁やビールを注文したり、行動食を食べたりして35分休憩しました。
写真でよく見る涸沢カールの景色。想像よりも実像ははるかに広大です。
はるか上に見える壁のような穂高の稜線、あの場所まで登っていくのが信じられません。
お酒に弱いのでコーヒーを注文して飲みました。
ここから穂高岳山荘に向かいます。涸沢カールを緩やかに登っていくのですが、穂高の尾根に近づくにつれ傾斜がきつくなり、最後は壁のような斜面を登っていくことになります。
前穂高から伸びるノコギリみたいな稜線や涸沢岳付近にある槍ヶ岳のような尖がったピークが近くに見えてくると、とんでもないところに来た気分になってきます。
11:50ザイテングラード取り付きに20分早く到着。かっこいい名前です。
ザイテングラードの意味を調べてもよく分かりませんでしたが、大きな尾根につながる小さな尾根といった意味でしょうか。
この尾根がなかったら、最後はガレ場の直登やロッククライミングになっていたことでしょう。
ここから鎖やはしごもでてくるので、ヘルメットを装着。登山者の大半はヘルメットをかぶっていました。
標高3000メートル近くなると酸素が薄くなり、息が切れ気味に。
地上と同じペースで進むとすぐに心拍数が上がり、耳の中がドクドクいっています。
少し進んだら、花や景色を見ながら息を整えて、焦らずにゆっくりと登ります。
見上げると石垣が見えて、穂高岳山荘が表れました。
12:45穂高岳山荘に5分遅れて到着。高所では速度がかなり落ちるようです。
コースタイムでは14:00着(休憩含まず)なので、まだ時間があります。
小屋のテラスではニ泊組が迎えてくれました。
一泊二食の料金を支払い(10300円)、後続を待ったりして1時間くらい休憩したあと、涸沢岳に登って北穂高への縦走路を散策することに。
涸沢岳は20分で到着しましたが、酸素が薄くて息を整えながらです。
あいにくガスでほとんど眺望はありませんが、鋭くとがった山の形がかっこいいです。
北穂高の縦走路は垂直みたいな壁を鎖で降り、鎖を使って縦横の移動があり難易度が高いです。
散策の気分でくるところではありません。
体力と時間を考え、難所の手前で引き返しました。
北穂高までまだ50分くらいかかるようでしたが、一緒に出たメンバーは北穂高まで行って、山小屋で何か食べ、バッジを買い、私と大差ない時間で穂高岳山荘に戻ってきました。
汗が冷えてきたのでコーヒーを注文し、インナーダウンを着てストーブにあたりました。とても8月とは思えません。
朝食は予約していましたが、朝食用の弁当の予約もありましたので、行動食として弁当も予約しました(1000円)。
初めての山小屋での食事を終えると、眠いし寒いし、布団の中に入りました。
布団は一人一枚、トイレは水洗、ゴミ箱もあるし、食事は満足、小屋は綺麗。景色もいいし、快適でした。
メンバーから6時前に寝ると夜中に目が覚めるよ、と心配されながら就寝。
夜中に頭痛で目が覚めましたが、高山病の夢を見ているだけだろうと気
を紛らわして、翌朝4時に起床、出発の準備をします。
2.2日目
5時に朝食をとり、イワヒバリと一緒に朝日を眺めて、予約した弁当を受け取り、5:40に出発しました。
朝日は雲の隙間から見える程度、奥穂高岳はガスで真っ白、風は強めで、ジャージの上下を着た上に雨合羽を着て、百均の薄手の手袋を付けて、やっとちょうどいいくらい。
今日は最初からヘルメットをかぶります。冬の大山のようだねと話しながら、奥穂高岳山頂を目指します。
昨日とは違い、いきなり岩登りから始まります。
視界が悪いのですが、鎖や階段の位置、浮石に注意しながら、ゆっくり登っていきます。
40分程度で奥穂高岳山頂に到着。写真でよく見る社がありました。
ふりかえるとジャンダルム、塔のような巨大な岩が雲から姿を見せます。
少し近づいてみると、団体がロープで下降していました。
奥穂高山頂からゆっくり歩いていくと、どんどん明るくなってきて、青空の下に吊尾根と前穂高が出現しました。改めて来てよかったと感激しました。
吊尾根に下るところも、鎖を使ってやや危険なところもありましたが、
視界がよく(そのぶん高度感もありましたが)、楽しく進んでいけました。
8:30紀美子平到着。ここから前穂高岳をピストンします。
ここはペンキの印をたどりながら登っていくのですが、登山者が多く落石注意です。
25分程度で前穂高岳頂上に。北穂高岳、大キレット、中岳、大喰岳、槍ヶ岳と続き、東鎌尾根から大天井岳、燕岳への表銀座ルートが確認できます。
歩きたい登山道がたくさんあります。
南を見ると富士山がちょっとだけ頭を出していました。
紀美子平へ降りるのに30分。コースタイムより10分遅れ。
小休憩して10:00に出発。山頂で楽しんだため時間が押していますが、ここからの重太郎新道の下りは傾斜がきつく危険個所も多いので注意です。
重太郎新道は、重太郎さんが安全に前穂高岳に登れるように作った道で、娘の紀美子さんを遊ばせたテン場が紀美子平だそうです。
険しい道もありましたが、お花畑が見ごろだったし、ホシガラスがハイマツで餌を集めているし、楽しい下山でした。
ちょっと疲れを感じつつ、岳沢小屋に20分早く11:40到着。
全員合流するのを朝食用の弁当を食べながら待ち(朴の葉で包んだ寿司でした)、12:00に全員で下山。
ここからは石畳の緩い安全な道ですが、けっこう長く感じます。
重太郎さんに感謝しながら下ります。
途中に熊のフンらしきものがありました。
声を出しながら歩くように、しりとり大会を始めます。
25分早く上高地に到着。コースタイムでは休憩なしで13:20に対し、全員13:30には到着なので、
事故や怪我なく計画通りに歩くことができたようです。
メンバーがトレーニングを積んでいたことや、天気がよかったおかげだと思います。
昨日とは違って上高地は観光客で大賑わい。昼ごはんやお土産を買う余裕がないほど。
でも、バスの臨時便が出たので、予定の14時よりも早いバスに乗れました。
あかんだな駐車場に戻り、平湯温泉に入って、各班と解散。コンビニで昼ごはん、宝塚SAでラーメンを食べて帰りました。
着いたのは12時を過ぎていたかな。メンバーの皆さま、計画作成や予約、運転など、ありがとうございました!
2019 年 9 月 4 日