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天気予報を使いこなすために~第一回:降水確率

ズノーの山は東に日は西に

天気予報を見る時、晴曇雨のマークだけ見ていませんか?

気象庁が発表している天気に関する情報は、晴曇雨のマークだけではありません。

しかし、正しく理解して活用すれば便利な情報も、一般にはあまり知られていなかったり、誤解されていたりするのが実情です。

そこで、本講座では「天気予報を使いこなすために」と題して、「降水確率」「天気分布予報」「信頼度」といった情報の利活用について、

私見を交えながら紹介していきたいと思います。

 

第一回目となる今回は、降水確率について解説します。

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<衛星画像 (c)気象庁>

 

◆雨マークが無くても雨は降る!

「雨マークが無いのに雨が降った」 (`Д´) ムキー!

「降水確率20%なのに土砂降りの雨が降った」 ( ̄Σ ̄;)ブー

どう見ても天気予報が外れたと思われるようなお天気。

でも、気象庁の見解は異なります。

雨マークが無いのに雨が降ったとしても、降水確率が低いのに大雨が降ったとしても、

気象庁基準では天気予報が当たったと判定される場合があります。

このような事態が生じる背景には、「降水確率=雨が降る確率」という誤解が普及していることが考えられます。

(もっとも、誤解されやすい情報を発表し続ける気象庁にも責任の一端はありますが)

そこで、気象庁が発表している降水確率という情報について、まずは2つのポイントを押さえましょう。

・降水確率とは、1mm以上の雨が降る確率である。

・降水確率が50%以上だと、天気予報で雨マークがつく。

 

 

◆降水確率の誤解あるある

気象庁は、降水確率を以下のように定義しています。

a)予報区内で一定の時間内に降水量にして1mm以上の雨または雪の降る確率(%)の平均値で、0、10、20、…、100%で表現する(この間は四捨五入する)。

b)降水確率30%とは、30%という予報が100回発表されたとき、その内のおよそ30回は1mm以上の降水があるという意味であり、降水量を予報するものではない。

 

極端な話、どれだけ広範囲に雨が降ろうが1mm未満の雨であれば降水確率は0%ですし、

何十ミリ雨が降ろうが降水確率が上がるわけではない、ということです。

この1mmの雨というのがネックで、誤解を生む根源になっています。

そこで、1mmの雨というものがどの程度の雨なのかを感覚的に知っておきましょう。

1mmの雨とは1平方メートルあたり1リットルの雨に相当します。

身近なものに例えると、タタミ半畳に牛乳パック約1本です。

つまり、1mmの雨というのは、目に見えて地面が濡れるくらいの、しっかりとした雨ということになります。

 

そこで、先ほど挙げたポイントの二番目を思い出してほしいのですが、天気予報で雨マークがつく状況というのは、降水確率が50%以上、

すなわち目に見えて地面が濡れる程度の雨が降る可能性が半分以上あるということです。

したがって、そんな状況では1mm未満の弱い雨が降る確率はきわめて高いということになります。

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<天気予報 (c)気象庁> お天気マークだけではなく、降水確率も見ましょう。

 

 

◆1滴でも雨が降る確率は?

降水確率が1mm以上の雨を対象としていることを理解すれば、雨マークが無くても雨が降る場合があるということは自明です。

しかし、アウトドアに出かける身としては、1mm未満の弱い雨であっても、雨が降るのか降らないのかを知りたいところ。

そこで、降水確率が10~40%という雨マークがつかないような状況で、雨が降るか降らないかを判断する方法を紹介します。

 

降水確率の定義にしたがえば、1mm未満の弱い雨しか降らないと予想したのであれば降水確率は0%で構いません。

しかし、気象庁は次のようにも言っています。

「1mm未満の降水予想である場合は「降水確率0%」でもよい。ただし、実用上の見地からは雨または雪の降りにくい状態に用いることが好ましい。」

実用上の見地とはつまり、降水確率0%と発表したのに1滴でも雨が降った日には苦情電話が殺到するという、そういう意味です。

そういった次第で、1mm未満の弱い雨が降る可能性があると予想される場合、

気象庁は10~40%の降水確率を発表するという運用をしています。

そこで、私見にはなりますが、10~40%の降水確率が、どの程度の雨の降りやすさを表現しているのかを乱暴にまとめると、次のようになります。

10%:十中八九雨は降らないよ

20%:微妙だけど、降らない可能性の方が高いかなぁ

30%:微妙だけど、降る可能性の方が高いかなぁ

40%:まあ降るでしょうね

以上のことから、降水確率が30%以上であれば、雨が降る可能性は半々と思った方がよいと私は考えています。

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<レーダーナウキャスト (c)気象庁> レーダーには広島県で発達した積乱雲が映っています

 

 

◆夕立には注意

「雨マークが無いのに雨が降った」を説明したので、続いては「降水確率20%なのに土砂降りの雨が降った」の解説に移ります。

繰り返しになりますが、降水確率とは1mm以上の雨が降る確率であり、何十ミリ雨が降ろうが確率が高くなるわけではありません。

そして、予報対象区域の大部分が晴れているのに局所的に雨が降るというような状況では、

「所によって雨が降るでしょう」という予報が発表されますが、この場合降水確率は50%未満なので雨マークはつきません。

しかし、アウトドアに出かける我々としては、大雨に見舞われるのはぜひとも避けたいところ。

そこで、降水確率が低くても大雨が降る状況を知り、登山計画を立てる際に活かしましょう。

 

降水確率が低くても大雨が降るような状況とは、夏の晴れた日の午後の夕立です。

強い日射によって暖められた地表付近の空気が上昇することで積乱雲が発達し、熱雷が発生します。

また、山地は地形の影響で積乱雲が発達しやすいので、夕立に遭う可能性もそれだけ高くなります。

ポイントとしては、天気予報を見る時に、12~18時の期間の降水確率に注目しましょう。

私見ですが、夏の晴れた日の午後であれば、降水確率が30%以上ならば、夕立に遭う可能性は半分以上と思った方がよいと考えています。

対策としては、最新の雷注意報の発表状況や、レーダーに映る強雨域に注意を払い、危険と判断したら行程を早めに切り上げることが必要です。

理想を言えば、午前中で行程が終わるように早朝に出発することが好ましいです。

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<雷情報 (c)中国電力> 中国電力のHPでは落雷地点を見ることができます

 

 

 

“天気予報を使いこなすために~第一回:降水確率” への1件のコメント

  1. オータム より:

    文字に起こして頂けると非常にわかりやすいです。
    中国電力HPで落雷地点が見れるなんて初耳。良いこと聞いたなぁ。

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