オオヨロギレポート 2018.06
あの出来事から十分すぎる刻が過ぎた今、私はようやくキーボードに向かう気になった。
これまでの間、はたしてこれを記事にすべきかどうか逡巡していたが、ほんの数週間前、驚くべき邂逅を果たした私は、ついにこれを世間に知らしめる決意をした。
今から語る初夏の大万木での出来事はにわかに信じることはできないと思う。しかしそうであったとしても、私にはこれを世間に公表し、少しでも多くの人にその存在を伝える義務がある。それがつまらぬ贖罪の意味を持つものだとしてもだ。
けれどあなたたちには、そんな私のつまらぬ義務につきあう理由はない。世の中には知らない方がいいことなどいくらでも転がっている。ひょっとすると、これを見ることによって、何か説明のしにくい事象があなたの身の回りに起こるかもしれない。杞憂であればそれはそれでいい。
しかし突き放すようで申し訳ないが、もしそんなことになったとしても、私は責任を持てない。彼らの思考回路は到底理解不能だからだ。だから私はあなたたちに警告する。ここでならまだ引き返せる。覚悟なき者はこのページを今すぐ閉じることをおすすめする。いいな、警告はした、警告はしたからな。
少しばかり興奮してしまったようだ。どうか許してほしい。私は、説明のしにくい事象の只中にある。あの日以来、常にどこかしらか、時と場所を選ばず視線を感じている。監視されているといったほうがいいかもしれない。
しかし、それ以上のことは何も起こっていない。ただ見られていると感じるのだ。それは私などいつでもどうとでもできるという彼らの余裕であり、残酷さでもある。
前置きが長くなりすぎたようだ。私にどれだけの時間が残されているのか定かではない今、あの出来事をここに記す。
2019 年 3 月 28 日