アクシデント対策② 落雷
※アクシデント対策②道迷いの予定でしたが急遽内容を変更してお送りします
落雷
山では最も遭遇したくないもの。屋外ではどこに居ても雷にうたれる可能性がある。
◆雷雲(積乱雲)
何らかの原因で発生した強い上昇気流によって積雲からむくむくと成長して塔あるいは山のように立ち上り、雲頂が時には成層圏下部にも達することがあるような、巨大な雲。
雲は輪郭がはっきりしていて、雲底は非常に暗く、雲の下では激しい雨や雹・霰、冷たい突風がもたらされ、雲の内外で雷が発生するのが特徴。
雷は雨が降る前に発生し、落雷する。
夏は快晴の時には朝からの日差しで地表が温められて上昇気流が発生。午後から夕方に掛けて積乱雲が発達し落雷が発生するパターンが多い。
◆雷との距離
自分から落雷地点までの距離(m)=340(m/秒)×光ってから雷鳴が聞こえるまでの時間(秒)
(雷鳴が聞こえる距離は通常で約10 – 15km)
光ってから10秒後に雷鳴が聞こえたら3400m離れた場所に落雷があったことになる。
※間隔が3秒程度だと1000m以内に落ちていることになる。
雷雲の移動速度は時速10~40km(秒速3.8m~11m)。
ということは、1000m移動するのに260~100秒。
運悪く雷雲の進行方向にいた場合、5分以内に頭上に到達することになる。
・・計算上はこうなりそうだがこれは間違い。
次の落雷は、前の落雷位置から0~30km離れた場所で起こる。(最も多いのは3~4km)
ということは雷鳴が聞こえた時点で既に危険ゾーンに入っている。オーマイガー!!
また、次の落雷までの間隔時間は決まっていない。(最も多いのは約15秒)
ということは安全に移動する時間は存在しない。オーマイガー!! オーマイガー!!
すなわち、
雷鳴が聞こえたらすぐに退避行動をとらなければならない。
◆対策
①雷にあわないために
★天気予報で事前に確認し、発生が予測されている場合は無理に入山しない。
★前日、前々日の天気を確認する。雷三日(雷が発生すると三日ぐらい続くということ。大気の状態を不安定にさせ、積乱雲を発達させる上空の寒気の動きが遅いのが原因)というのは本当らしい。
★午後は天気が崩れやすい。出来るだ早朝から行動し、午後早い時間に目的地に到着するようにする。
②雷鳴が聞こえたら
★丈夫な電気を通す物体で囲まれた空間に逃げ込む。(車内、鉄筋コンクリートの建物の中など)
★有人の営業小屋に逃げ込む。(避雷針設備がある)
③安全な建物までたどり着けなかったら
グループで列をなして行動すると、万が一の場合、一度に多数の被害が発生してしまうので分散避難が鉄則。
とにかく60-90分の間、雷が遠ざかるまでやり過ごすしかない。
★比較的安全な場所=保護範囲がある場合
高さ5~30mの物体(樹木、建物、ポール、電線、電柱)の保護範囲で両足をそろえ、耳の穴を指でふさいでしゃがむ。
★保護範囲なんてない場合
〇避雷針設備のない避難小屋、東屋などで姿勢を低くし身をかがめる。(小屋の中では柱や壁から出来るだけ離れる)
〇ハイマツ帯、稜線や山頂を巻く道で姿勢を低くし身をかがめる。
※寝そべると近くに落雷があった場合に地面を伝わる雷でケガをする場合があるので危険。
〇危険な場所から離れる。
・稜線、山頂など周囲より高い場所から離れる。
・高い物体(樹木、岩)の保護範囲外に留まらない。側撃雷(直撃を受けた物体の近傍にある別の物体に再放電を生じて電流が流れる)の可能性があり危険。
・樹林帯は保護範囲を絞れないので危ない。
・テントの中は平地で姿勢を低くしている時より危険。
心臓を体で包み込むようにし、両足をそろえ、耳の穴を指でふさいでしゃがむ。
※金属の有無は関係なく、ゴム靴やビニールのレインコート等を身に着けていても安全ではない。
◆落雷事故
過去にはこのような痛ましい事故も発生しています → 西穂高岳落雷遭難事故
落雷事故はもはや人災といわれてます。
的確な退避判断をしましょう。
2013 年 6 月 24 日