ツアー&イベント レポート


王とカメラマンの私財探し 沖の郷山の巻

隊長の自由帳

暑い夏の日の大冒険サダクエスト

平和を取り戻した佐田の国のサダ王から連絡が入った。大事な話があるのだという。

勇者は勤務中なので、時間があるカメラマンがサダ王のもとへと向かった。

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「おお! カメラマン。よく来てくれた、わしがサダ王じゃよ。」

「ご無沙汰しておりますサダ王様。いったいどうなさったのですか?」

「お前達のおかげで佐田の国は平和を取り戻したのじゃが・・。以前、わしは国を救うために王家の財産を魔王に引き渡した事はお前も知っておろう。

魔王を倒したまではよかったのじゃが、わしの財産はもどってきておらんのじゃ。」

「は! 確かに・・。あの時、魔王は引越しする予定でしたね・・。荷物は既に運ばれていました。ならば引越し先を当たればいいのでは?」

「魔王の引越し先は不明なんじゃ。引越社長にも連絡が取れん。もともと正体不明じゃからのう。タ・ターミヤもどこにおるか分からんのじゃ・・。連絡先を聞いておけばよかったわい・・。」

「なるほど。八方ふさがりですね・・。」

なんてお気の毒なサダ王。せっかく平和が訪れたと思ったのに王様がこれでいいはずは無いぞ。

 

「そこでまたお前に頼みがあるのじゃ。」

「なんなりと。」

「わしの財産探しを手伝って欲しいのじゃが・・。」

「もちろんお手伝いいたします王様!!」

「ありがとう。この山が怪しいと思うんじゃが・・早速いってもいいかのう?」

「目星は付いているんですね! では参りましょう!!!」

こうして気の毒なサダ王の私財探しの旅が始まった。

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目的地は沖の郷山(オキノゴウヤマ 957.1m)。

佐田の国の東に位置するこの山なら、引越し先の候補としても有力だ。

サダ王自慢の白馬に乗って移動する。

サダ王は白馬に深いこだわりを持っているのだ。

「王様、随分いい馬車をお持ちですね。」

「おお! よくぞ気付いたなカメラマン。この馬車はハイブリッドと言ってな、とっても先進的な馬車なんじゃ。

この馬車を手に入れるために杖と王冠を手放してしまったがのう。」

「なるほど、それで王冠が無いのか・・。貧しいながらも白馬を愛する王様。う、うっ、なんとけなげなサダ王様・・。」

カメラマンは涙した。

 

ハイヤ! ハイヤ! と馬車を走らすとやがて沖の郷山が見えてきた。

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そして登山口に到着。

白馬の尻を開け準備を整える。

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駐車スペースの横には道標が立っていた。

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山頂までと2kmの道のりだ。わりと近いぞ。

「今日はわしが先に歩こう。今まで世話になったからのう。」

「分かりました。お願いしますサダ王様。」

よーし出発だ!!

先頭は初めてのサダ王。後ろに続くはカメラマン

 

サダ王は威勢よく歩みを進めた。

「ハイヤ! ハイヤ!」

上機嫌にコンクリート道を進むと、やがて道は左へ左へと逸れていく。

山頂は右のような気もするが、王様のことだ。きっと下調べしてあるに違いない。

しばらく進むとヤブに突入!

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「お、王様。この道は違うんじゃないでしょうか?」

「やはりそうか!! ミスってしもうたわい!!」

なんてこった・・。サダ王は特にルートを調べてはいないようだ。

「さっきの分岐まで引き返すぞ。さぁ、バックじゃ。バック! バック!」

分岐まで引き返し、今度は右のコースへ進む。

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はっきりした登山道が続いている。この道で間違いは無いようだ。

30分ほど斜面を登っていくと、また分岐が現れた。

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その傍らには何やら白くて四角いボックスがある。

「王様、何かありますね。」

近づいてよく見るとサダ王は思わず声を上げた。

「おお!! これぞまさしく王家のトイレ!! こんな所にあったのか!!!」

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サダ王は王家のトイレを取り戻した。

白といえば王様のお気に入りの色。 気品あふれるトイレである。

「やりましたね王様!! さすが勘が鋭い!!」

「いやいや、運がついてただけじゃ。トイレだけにな。わーっはっはっは!!」

勇者と肩を並べるこのジョーク。ひんやりと夏場の暑さを押さえてくれるのでカメラマンは嫌いじゃないのだ。

「ほかにもあるかも知れませんね。山頂へ行ってみましょう!」

「うん。・・トイレだけにな。」

「冴えてますな王様!!」

 

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鼻歌交じりに先を急ぐサダ王。

曲はもちろん「トイレの神様」だ。

 

 

10分ほど歩くと山頂に到着した。

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下草が生茂っている広い山頂だ。

この場所で捜索を開始する。

「何か無いかのう・・。」

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「ありませんね・・。」

 

三角スイッチを押してみると天使の声が聞こえてきた!

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“ようこそ沖の郷山へ。ここにはこれ以上あなた方の探し物はありません。さらに東に行きなさい。”

「むむむ。まだ東へ行かねばならんのか・・。」

「残念ですね王様。」

「次はあれかのう・・。」

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サダ王の指差す方向には大万木山がそびえていた。

「またの機会に登りましょう、王様。」

「そうじゃのう・・。」

すると再び天使の声が聞こえてきた。

沖の郷神社へ行ってごらんなさい”

「おお! なんじゃろうな? 行ってみようぞ!!」

サダ王は小走りで山頂を下り、神社へと向かった。

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やがて小さな神社が見えてきた。

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「これが神社じゃな。何があるんじゃろう?」

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神社周辺をくまなく探してみるが特に何も見つからない・・。

「おかしいのう・・。」

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東屋で黄昏れるサダ王。期待していただけに落胆の色は隠せない。

天使は行ってごらんなさいと言っただけなのに・・。

 

「そろそろ下山しましょう王様。」

「そうじゃな。トイレを見つけただけでも良しとしようかのう。」

そして分岐点までまた引き返し、王家のトイレを引きずって下山する。

「うんしょ。うんしょ。」

と、トイレにあやかった掛け声をかけあいながら沖の郷山を後にするサダ王とカメラマンだった。

 

 

 

 

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「王様、馬車にトイレ入りますかね?」

「う~んこまった・・。」

2011.7.15

~不定期開催 王とカメラマンの私財探し つづく~

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