八ヶ岳ツアー CRAZY番外 三ツ岳・雨池山編その2
北横岳ヒュッテであんぱんと別れたロトは三ツ岳を目指す。
しばらく進むと三ツ岳への分岐を発見。そこには意味ありげな看板があった。
「この先、三ツ岳は岩場で危険です。軽装での方は入らないでください。」
どうやら暗号のようだ。山の経験が長いロトはすぐにピンときた。
ロ「これをそのまま鵜呑みにするのは山のビギナー。私のようなヴェテランになるとそうは問屋が卸さないぜ。」
ここで大盤解説が始まった。
まず「岩場で危険」だが、これは簡単なトリックだ。
最初の岩場を「いわば」と読んではダメだ。これは「がんば」と読むのが正しい。
そう、これは我々出雲人だけにわかるよう仕向けられたメッセージなのだっ!
字
がんばできけん→がんば!できーけん→頑張れ!出来ますから
字
という優しい心遣いなのである。
続いて軽装についてだ。勘のいい方はもうおわかりだろう。
軽装とは手ぶらのこと。手ぶら、つまり手ブラ。
服を着ていないということに他ならない。
そういうことだ。この先ザック男子(半裸)お断り。きちんと服を着ろ!ということなのである。
字
と言うわけで、出雲人で且つ服も着ているロトは安心して三ツ岳を目指す。
さて三ツ岳である。
地理院の地図にはないのだが、手元にある広域地図には載っているという三ツ岳。
その名の通り三峰からなる連山のようだ。
しばらく低木帯を進むと、登山道上に巨大な岩がゴロゴロしだした。その上を渡り歩く形だ。
人の背丈ほどもある巨岩が、不均等に散らばり、そこには幾つもの間隙が口を開けている。
うっかり足を滑らせそこに落ち入れば、軽装だろうが重装だろうが間違いなく無傷ではいられないだろう。
慎重に、しかしテンポよく岩の上を渡って行く。
岩稜帯を越えると、再び樹林帯に入る。相変わらずぬかるんでいる。
次なるは雨池山であるが、進めど進めど周囲は開ける気配がない。
森の中を進む。しばらくすると道の脇に標柱を発見した。
雨池山と記してあった。
なんとまあ、味気ない山頂であるが、それでも山頂には変わりない。
ビシッと記念撮影をし、あとは合流地点に向かうだけとなった。
時計を見る。下り終えてちょうど一時間といったところか。
何とか隊長の思惑通りになりそうだ。
峠に向けて嬉々として下りおりるロトであったが、この後思いもしない事態に陥るとは微塵も思ってはいない。
本編へつづく
2014 年 10 月 20 日