八ヶ岳ツアー CRAZY 6
9:22、硫黄岳山荘
ここで行者小屋から上がってきたNORMAL隊8名と合流した。
随分と華やかなNORMAL隊。
ここからは2隊18名で赤岳まで行動を共にする予定。(その後NORMAL隊は行者小屋に下りて宿泊、CRAZY隊はキレットを越え、権現岳を越え青年小屋で宿泊するのだ)
この後さらにHARD隊12名と出会い、総勢30名で集合写真を撮る。
これがこのツアー最大の目的なのだ。
9:33、こんもりとしたピーク台座ノ頭(ダイザノアタマ)を左に見ながらスタート。
まずは次のピーク横岳を目指す。
横岳はいくつかのピークの総称である。これから続く岩峰をソイヤソイヤと越えていかなければならない。
徐々にガスってきた縦走路。
視界不良になりそうだ。
すれ違い渋滞もしばしば発生。
この縦走路、難易度の高さというより人の多さで全くソイヤソイヤとは進めない。
もちろん逆方向からくる登山者も我々の隊列を「大所帯が通りおって・・」と思っているに違いないのでとりあえず謝っとこう。ごめんなさい。
10:32、横岳 奥ノ院(ヨコダケ オクノイン 2829m)
この奥ノ院が横岳本峰とされている。
しかし最高峰は隣り(赤岳側)の無名峰で2829mという標高はこのピークの標高なのだそうだ。ややこしい。
このあたりでHARD隊と遭遇するはずだ。
引き続き先の見えない稜線を進む。
しばらく進むと賑やかな整列集団が見えてきた。
あれはまさしくHARD隊!
花道を作って迎えてくれた。
HARD隊と無事合流。
これで全員勢ぞろい。一際賑やかなマメンバーズ。
お互いの健闘を称えあい、しばし歓談。
10:48、ガスで背景は真っ白だがメインイベントの総勢30名の写真撮影無事完了!
本来ならば31名だったが今朝ほど脱落者が1名・・。
今頃何をしているのやら・・
ここで今後の行動を相談する。
隊長「CRAZY隊のみなさん、高隊長は赤岳から行者小屋、美濃戸へ今日中に下山、街のファミレスで宿題することになりました。もちろん隊長も同行します。リーダー不在となるけど特に問題ないでしょう。」
悪天候でもなく、体調不良でもなく、宿題をするためという前代未聞の下山理由。
だが学生である高隊長は登山よりも宿題の方が重要なのだ。
やり直しのきく山登り
待った無しの宿題
こうたいちょを
隊長「ついでに言うと、このままのペースでは今日の宿泊地の青年小屋に到着するころには日が暮れてします。何か手を打たなければなりません。」
プロ「という事はさらにペースを上げて歩くしかないわね。」
なみなみ「いよいよただ歩くだけになってしまうのね。なんだかNORMAL隊は楽しそうね。」
かにちゃん「ほんと。私ものんびりと山を楽しみたくなってきたわ。」
コロ助「えっ!? 八ヶ岳制覇はいいんですか。」
プロ「私は歩こうと思えば歩けるけど歩こうとは思わなくなってしまったわ。だってウキウキしてるのよ。もっと山を楽しみたいわ!」
なみなみ「そうね、ただもくもくと歩くだけなんてつまらないわ!」
かにちゃん「確かにそうね、今回は赤岳まで歩けば満足よ!」
NORMAL隊と共に赤岳から行者小屋へ下る道を選んだレディー達。
隊長「コロ助はどうする?」
レディー達と同じテントのコロ助はここからの行動を決めなければならない。
コロ助「え・・どうしようかな・・赤岳まで行こうかな・・。」
(ほんとはどっちでもいいんだよね。そろそろ疲れたし。姉さん方と一緒に下りてもいいんだけどなぁ、どーしよっかなー。)
プロ「そうね、無理に私達に合わせて行動することはないわ。アナタの道を進むべきよ。」
なみなみ「いなくなるとなんだか寂しいわね。」
かにちゃん「いろいろ言ってごめんなさいね。気をつけて。」
やさしく別れを告げるレディー達。
コロ助「姉さん方・・。」
(あらら・・同行を求められると思ったのに意外な展開だ、どーしよう。)
miki-T「コロ助さん、3人とも素敵な女性じゃないですか。口ではなんだかんだ言いながら実はアナタを優しく見守っているのです。今こそこのパタゴニアの秘薬を飲む時です! 飲めばたちまちアナタの心の声がみなに届き、ポジションがぐーんと上がりますぞ!」
コロ助「すばらしい提案!! いただきます!!」
ゴクリ。
(よし、これでオレのポジションが上がる。そしてこのまま仕方なく姉さん方に同行してエスケープした事にすれば、疲れてエスケープしたわけじゃないという面目も立つ。まさに一石二鳥だぜ。)
コロ助「ちきしょーっ、今日のオレはどうかしちまってるぜ、分かったよ、オレも一緒に下りてやらい!」
プロ「本当なのコロ助!!」
なみなみ「また一緒に歩けるなんて嬉しいわ!!」
かにちゃん「頼りにしてるわよ、これからもよろしくね!!」
コロ助「いいってことよ!!。南北八ヶ岳制覇よりも姉さん方の方が大事に決まってらー!!」
たたみ掛けるコロ助。
(やった! ついにオレのポジションが上がったぜ!)
勝者コロ助! もう八ヶ岳を制したと言ってもいいだろう。
「姉さん方なんてちょろいもんよ!! これだけ恩を売っとけばオレはわがまま言い放題だぜ~ 今日はテントは全部張ってもらおうかな~♪ 夕食も全部作ってもらおうかな~♪ そーいえばNORMAL隊にはレディー達が沢山いたなぁ 一緒にビール飲んで、一緒にトランプ、うっしっし♪ こいつは一石三鳥だぜ~♥」
プロ「アナタの心の声、聞こえてるわよ。」
なみなみ「恩を買った覚えはないわ。」
かにちゃん「この先どうなるのかしら・・楽しみね。」
戦慄が走るコロ助。
miki-T「心の声がみなに届くと言ったのに・・。」
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CRAZY隊員の進路をまとめるとこうだ。
高隊長&隊長は今日のうちに赤岳から美濃戸口に下山。
プロ&なみなみ&かにちゃん&コロ助はNORMAL隊に合流し赤岳から行者小屋へ。
ケンケン、mili-T、あんぱん、ボルトはCRAZY本隊となって計画通り南北八ヶ岳制覇を継続する。
ここで掟の登場だ。
CRAZYの掟その五、山頂解散あり ~麓で会いましょう~ (とうとうサブタイトルまで付いてしまった特殊な掟。そろそろ掟も尽きてきた。)
隊長「では解散!!」
ゴールを急ぐCRAZY本隊、ケンケン、miki-T、あんぱん、ボルトと宿題を急ぐ高隊長、隊長は一足早く出発する。
では、お先に。
また明日会いましょう!
※NORMAL隊と合流したCRAZY隊4名の様子は 八ヶ岳ツアー~Normal編~② をご覧ください
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11:00、奥の院の次のピーク付近。
多分あれが無名峰。
先を急ぐ我々は寄り道せず通過。
11:04、山頂を巻く杣添尾根分岐を通過。
この右のピークが三叉峰(サンシャホウ 2825m)。
通過後に振り向いてピーク写真だけ撮っておきました。
この先に見えるピークがおそらく石尊峰(セキソンホウ)。
この辺りは視界が悪く、正直言ってどういうルートを通ったのか覚えていない。
縦走路は鉾岳(ホコダケ)をトラバースし、
日ノ岳(ヒノダケ)の山腹を急激に下る。
そして現れたのは二十三夜峰(ニジュウサンヤホウ)
高さ10m程の奇妙な形の岩の塔だ。
11:41、地蔵ノ頭。
行者小屋に続く地蔵尾根ルートはここから伸びている。
やがてガスの切れ間に小屋が見えた。
赤岳は近い。
11:52、赤岳天望荘。
ここで小休止。
ここから赤岳山頂までエグい急斜面が続いていた。
あとひと踏ん張りだが足取りは重い。
休憩の回数も増えてきた。
12:40、やっと赤岳頂上山荘に到着。
ついに別れの時が来た。
隊長「我々はここまでだ。後は任せたぞ!」
ケンケン「必ず制覇してみせましょう。」
miki-T「無事下山してください。」
隊長「ありがとう。みんなも無事で。」
あんぱん「宿題がんばるんだよ。」
高隊長「はい。」
隊長「では明日の朝、再び会おう!!」
ボルト「あの・・ぼくも後にいますよ。」
ここでCRAZY本隊4名は南北八ヶ岳制覇に向け出発。
高隊長と隊長は美濃戸へと下りていくのでありました。
CRAZY本隊の4名の様子はこのあと続きます。
高隊長と隊長の続きは八ヶ岳最終章 「ラストエピソード ~脱落者たち~」に続きます。
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<CRAZY隊>
あんぱん
ボルト
miKi-T
コロ助
かにちゃん
なみなみ
ケンケン
プロ
ロト
高隊長
隊長
2014 年 10 月 25 日