勇者とカメラマンの近場の旅 坪背山の巻 - サダクエスト0
島根県出雲市大社町 坪背山(ツボセヤマ 371m)
出雲北山の縦走路の西の果てとされる弥山。その西にあるこの山にも登れるのだろうか。
暑い夏の日の午後、勇者ロトと共に調査に出かけた。
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冒険の始まりは出雲大社から出雲北山を越え日本海側の鷺浦(さぎうら)へ通じる道路上にある鷺峠(さぎとうげ)。
ここに馬車を止めスタートだ。
事前のネット調査では、山頂までのルートについての情報は得られなかった。
今回も低山の宿命。踏み跡があるのかさえも分からない手探り冒険なのだ。
そして今日の装備は・・
[勇者]
レベル37
<防具>
Tシャツ 防御力 8
長ズボン 防御力 5
かわのくつ 防御力 2
勇者の帽子 防御力 5
ウエストバック 防御力 5
<武器>
おのれのこぶし 攻撃力 22
<道具>
iPhone
装備、攻撃力とも回を重ねるたびに確実にアップしている。
↑初期の勇者とはレベルが違うぞ。
一方、
[カメラマン]
レベル5
<防具>
Tシャツ 防御力 6
ぬののズボン 防御力 3
かわのくつ 防御力 2
あせふきタオル 防御力 1
<武器>
でじたるかめら 攻撃力 1
<道具>
ハンディGPS
黒い馬車
相変わらずの貧弱さ。もはやコメントはない。
よーし出発だ゛!!
まずは国境チェーンをまたぎ隣の国に入る。
先頭はもちろん勇者ロト。後ろに続くはカメラマン。
すぐ左に登山道らしき道があるが、まずは林道を歩いてみることにする。
舗装道路をペース良く歩いていく。
やがてブーンという飛行音が聞こえてきた。
「蚊が飛んでおるな! しかし私の敵ではない。」
蚊なんぞ勇者じゃなくても敵ではない。
無視して進んでいくとブーン音が増してきた。
「蜂が飛んでおるな!! しかし私の敵ではない。」
一般人ならビビるところだが、蜂で怯むような勇者ではないのだ。
さらに進むとブーン爆音!!
「一体なんだ!?」
林道脇にはあやしい箱が並んでいた。
「こ、こいつらはキラービーだ!!!」
「いきなり敵の懐に飛び込んでしまったわ!!」
さっきまで敵ではないって言ってたのに・・。
勇者に気付いたキラービーがいっせいに襲い掛ってきた!!
とっさにキラービーに背を向け腰を振り出す勇者。何を始める気だ!?
ふりふり。
ふりふり。
懸命に腰を振る勇者。
その腰の振り方はまるで蜂がお尻を振っているかの様ではないか!
それを見ていたキラービー達は攻撃をピタリと止めてしまった。
どうやら勇者を仲間と認識したようだ。
さすがは勇者。いかなる時も装備に抜かりは無いのだ。
「キラービーとて敵ではないわ!!」
一体どっちなんだ・・。
「ところでビー達、山頂はどっちだね?」
フランクに話しかけ、蜂たちを手なずけにかかる勇者。
「このままブーンと進んじゃってください。勇者様。ついでに蜜をどうぞ。」
「ありがとう。ビー達よ。」
キラービーはすでに勇者の虜である。ステキすぎるぞ勇者。
プレイボーイなこの立ち振る舞いを目の当たりにしたカメラマン。
開いた口がふさがらなかったのは言うまでもない。
・
林道を進んでいくと、なんとなく山頂へ続く尾根に取り付けそうな場所を見つけた。
ここから本格的に山に入る。
出雲北山は下草がほとんど生えていない。道は無くても目的地の方向さえ分かっていればどこを通ってもたどり着けるのだ。
もちろん地図は必要だが。
登っていくと、謎の石碑が現れた。
表面には「五番」と書いてある。これは一体何なんだろう。
気にしつつも先に進む。
歩くこと10分弱、勇者の最強アイテムiPhoneによるとこの辺りが山頂のはずだ。
案の定、特に山頂のしるしは無い。
「おかしいぞ・・。」
地図をよく見るとすぐ先にもう一つピークがある。
「もしかすると次のピークに何かあるかも。」
次のピークに走り出す勇者。
そして数秒で次のピークにたどり着いた。
「何かあるぞ!!」
指差す先には「坪背山」と書かれた木製プレートが木に取り付けられていた。
「ここが山頂か。分かりづらいわ・・。」
愚痴をこぼす勇者。
ちなみに展望はわずかに南の海岸辺りが見えるだけである。
「とにかく山頂は踏んだ。」(三角点はない)
「任務完了だ!!」 (誰も頼んでない)
そして来た道を下山する。
帰りは林道に下りず、このまま尾根筋を歩いてみる事にした。
ひょっとすると弥山まで縦走路が続いているかもしれないと考えたからだ。
(左に下ればすぐ林道)
歩いていくとまたしても謎の石碑が現れた。
「またあったぞ。一体これは何だと言うのだ!?」
近寄って調べ始める勇者。
すると突然、無防備な勇者に石碑が襲いかかってきた!!
パクッ!!
不意をつかれた勇者は頭部を丸飲みにされてしまった!!
「あわわわ。なんという事だぁぁぁ!!! 三番てぇぇぇぇ!!!」
慌てふためくカメラマン。
為す術がなく震えていると、石碑がモゴモゴと喋りだした。
「・・佐田の・・国が・・大変じゃ・・・すぐに・・サダの王の・・もとへ・・行く・・のじゃ・・・・」
なんて唐突な話なんだ!!
「わ、分かりました。しかし勇者がその状態ではどうにもなりません。」
「そりゃ・・そうだ・・な・・・必ず・・・行っ・・て・・国を・・・救っ・・・てくれ・・・・」
と言うとゲボゲボ~っと勇者を吐き出した。
「意外と物分りのいい怪物で助かった。大丈夫か勇者!」
駆け寄るカメラマン。
「大丈夫だ。話は口の中で全部聞いた。 行こうサダの王のもとへ!!!」
「・・・。勇者ってなんて切り替えが早いんだ!」
勇者の頭は石液でべたべただがそんなことは気にしない。
たった今攻撃を受けた石碑に一礼。
「安心したまえ。私が佐田の国を救って見せよう!!」
かっこよすぎるぜ勇者~!!
駆け足で斜面を駆け下りる勇者とカメラマン。
こうして謎の石碑の依頼を受け、佐田の国へ旅立っていったのだった。
サダの王って誰なのか!?
どんな危機から救えというのか!?
王の居場所を聞き忘れてるんじゃないのか!?
この先の展開が全く分からないが、とにかく行くしかなのだ!!
この夏、
史上最大の冒険物語がついに始まる!
勇者とカメラマンの近場の旅 特別編
サダクエストⅠ 王院山の呪われた王 へ
つづく
2011 年 8 月 5 日
『ハミガキはオリンピックの年に一回』
なんてぬかしてドヤ顔する三番石碑。
お前の口の中でホント、死ぬかと思ったわ。
まあ頼まれちまったもんは仕方がない。
勇者の言葉にたぶん二言はない!